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マネジメント ダイバーMANAGEMENT DIVER



【第04回】サステナビリティ:
ステークホルダーの認知と企業活動の現実とのギャップを埋める処方箋

強い評判は企業の最も価値ある資産であると広く認められるようになってきました。そしてサステナビリティ(持続可能性)は、企業の評判の重要な構成要素となってきています。
多くのステークホルダー(利害関係者)(顧客から投資家、従業員、購買マネジャーに至るまで)にとって、サステナビリティは彼らの意思決定プロセスにおける重要な要因であることが報告されています。

John Peloza、Moritz Loock、James Cerruti、そしてMichael Muyot1は、Brandlogic社とCRD Analyticsis社2が開発したツール「サステナビリティIQマトリックス」による調査報告をもとに、サステナビリティにおける企業の投資の現実とその認知を比較します。次に、ステークホルダーがその認知を形成する方法について、企業とステークホルダー間のコミュニケーションプロセスを調べ、サステナビリティコミュニケーションの効率を高めるために役立つ、エグゼクティブのための提言をしています。


John Peloza is Assistant Professor of Marketing at Florida State University.
Moritz Loock is an Assistant Professor of Energy and Sustainability Management at the University of St. Gallen, Switzerland.
James Cerruti is Senior Partner, Strategy & Research, at Brandlogic Corporation.
Michael Muyot is President and Founder of CRD Analytics.

サステナビリティIQマトリックス

サステナビリティIQマトリックスとは、調査対象企業のサステナビリティに対する、実際の企業業績のランキングスコアとステークホルダーのその認知をマッピングしたもので、4つの象限(リーダー、出遅れ、プロモーター、挑戦者)に区分できるものです。下図に示します。
  1. 対象:グローバル企業100社(2011年)
  2. 縦軸:サステナビリティリアリティスコア(SRS)
    対象企業の実際の企業業績を、CRD Analyticsis社2による第三者評価に基づいて
    ランキングした結果を示します。
  3. 横軸:サステナビリティ認知スコア(SPS)
    対象企業に対して、ステークホルダーがどう認知しているかを、Brandlogic社2が、
    3つの主要なステークホルダーグループ(投資専門家、購買マネージャーおよび
    潜在的な従業員(大学の卒業生))に対して、グローバルに調査を行った結果を
    示します。


( Brandlogic and CRD Analyticsis2 「Sustainability IQ Matrix: Global 100 Prominent Brands Sustainability」より)

サステナビリティメッセージをより効果的に配信する

Issue
課題
Recommendation
提言
Misidentification of segments
セグメントの誤認
Tailor media selection to specific stakeholder groups (e.g., campus campaigns for potential employees)
特定のステークホルダーグループ用に合わせたメディアの選択(例えば、潜在的な従業員のためのキャンパスキャンペーン)
Mismatch between offered and desired information complexity
提供されているものと必要な情報の複雑さとの間のミスマッチ
Rely on interactive means of communication to allow individuals to tailor their own reporting
各個人に合わせた独自のレポーティングを可能にするために、双方向性のあるコミュニケーション手段に頼る
Low involvement/passive processing
(サステナビリティメッセージに対する)受動的で低い関与の処理
Repeated exposure over time
時間をかけて開示を繰り返す

Embed messages in a variety of channels and stakeholder touchpoints (e.g., packaging, monthly statements)
様々なチャネルおよびステークホルダーとの接点にメッセージを埋め込む(例えば、パッケージング、毎月のステートメント)
Excessive noise
過度のノイズ
Monitor the environment and avoid or coincide with high-profile events as needed
環境を監視し、必要に応じて、注目のイベントを避けたり、同時に行う(タイミングを考慮する)
Conflict between sustainability and brand positioning
サステナビリティ活動とブランドのポジショニングとの競合
Integrate sustainability message into positioning (e.g., low-cost positioning supported by efficiencies)
サステナビリティメッセージをブランドポジショニングに融和させる(例えば、効率によりサポートされる低コストのポジショニング)

( John Peloza ら1TABLE 1.より)

サステナビリティメッセージをより効果的に開発する


課題 提言
Peripheral processing by individuals
個人による周辺的な処理
Integrate product/service-related sustainability messages into mainstream marketing messages
主流のマーケティングメッセージに製品/サービス関連のサステナビリティメッセージを融和させる
Negative category bias
負のカテゴリバイアス
Align benefits of sustainability with individual stakeholder groups' interests (e.g., energy savings, lower costs)
サステナビリティの利益を個々のステークホルダーグループの関心に合わせる(例えば、エネルギーの節約、コストの削減)
Negative brand/category bias
負のブランド/カテゴリバイアス
Collaboration with firms with halos
高貴な雰囲気を持つ企業とのコラボレーション
Senior management image
上級管理職のイメージ
Coordination of firm communications and use of social media
企業コミュニケーション間の調整とソーシャルメディアの活用

( John Peloza ら1TABLE 2.より)

リーダー企業に共通している特徴と具体的事例

  • サステナビリティは、コンプライアンス問題に代わって、事業戦略の不可欠な部分になっています。

    Nestléは、自社の価値連鎖を分析し、栄養、水の品質、及び農村開発を改善するために地域の指導者と協力する方法を見つけました。これらの努力の成功は、事業戦略と企業の評判の両方に不可欠なので、Nestléの将来の成功にとって重要であると見られています。
  • 責任(Responnsibility)は、サプライチェーンパートナーのような関連する実体のそれらだけでなく、社内オペレーションへの影響のために取られます。アライアンスは、目標を絞ったサステナビリティの進展を促進するために形成されてきました。

    ABBは、ABB Supplier Code of Conduct(SCC)で、ABBに販売を希望するすべての企業のために、公正かつ法的な労働条件、安全衛生、環境責任と企業倫理、サプライヤのパフォーマンスについて、最低基準を定めています。またSCCは、サプライヤーに下請けの持続可能性能力に対しても責任があることを要求しています。
  • レポーティングはGRI スタンダードに準拠してきています。彼らが強調する問題の重要性は、企業とすべてのステークホルダーの両方に理解されてきています。リーダー企業は、関連すると思わないかもしれないことであっても、完全に透過的にこれらのスタンダードを満たすことに優れています。

    BMW(ダウ・ジョーンズサステナビリティインデックスで7年間のランキング上位)のサステナビリティレポートは際立っています。製品責任(設計される97%の製品のリサイクル性)、環境保護(投資の初期段階で、保護強化のための施策を識別)、社会(交通安全、教育、健康)3つの重点分野に分けて雄弁に報告されています。また、外部のステークホルダーにサステナビリティを伝えるだけでなく、従業員のために社内研修などの社内コミュニケーションにも取り組んでいます。
  • サステナビリティは、ブランドとクライアント・バリュー・プロポジション(client value propositions)(企業が顧客に提供する一連の価値の組み合わせ、商品、価格、販売方法、顧客対応などの顧客が利便と感じるものすべて)に融和されてきています。

    IBMは、顧客がサステナビリティを育てるという方法で、どのように顧客のパフォーマンスを向上させるのに役立つかを伝えるために、”Smarter Planet(地球を、より賢く、よりスマートに)”というテーマを効果的に活用しています。最近のIBMの広告は、製品やサービスよりもむしろ、成果と社会的利益に焦点を合わせてきています。Intelなど一部の企業は二次的なコミュニケーションチャネルを通じて評判を構築することを選択しましたが、調査したリーダー企業のほとんどは、IBMの例に続いています。
  • オペレーショナルな取り組みやそれに関連するコミュニケーションは、事業の中核に結びついた厳選されたテーマに焦点を当てています。

    シスコシステムズは、事業とブランドに密接にリンクされている二つの課題に、そのリーダーシップを発揮することに集中しています。社会的には、シスコは教育(世界中の人々のITスキルを開発し活用する)に焦点を当てています。環境テーマでは、"EnergyWise" というテクノロジーで、顧客が、温室効果ガス排出を削減しスマートな建物をつくる支援をしています。
  • 調査結果は、トップ企業がサステナビリティレポートと実践を受け入れていることを示しており、完全かつ透明な開示が不可欠であり、単にレポーティングの演習ではないこと、さらに、サステナビリティは、社会、ガバナンスの要因だけでなく、環境の要因も包含することを理解しています。

    シーメンスは、サステナビリティのための委員会地位を確立して、結果的に、環境ポートフォリオでの収入で40億ユーロを達成することを主要な目標とする、クリーンハイテクのリーディング企業になるための野心的な目標とサステナビリティのビジョンを開発しました。
( John Peloza ら1「Monitoring The Macro Environment」より)

【参考】サステナビリティ、CSR、経営倫理

「サステナビリティ」のコンセプトは、1980年代、現在と未来世代の環境を破壊しない経済成長の道を探さなければならないという認識の高まりの中で生まれました。以来、サステナビリティはさまざまな社会問題や環境問題を考える判断基準として使われるようになり、ビジネスの世界においても強力な影響力を持つようになってきました。そして、「持続可能な企業」という言葉も定着しました。

「持続可能な企業」とは、株主利益を創り出す一方で、環境を守り、ステークホルダーの生活を改善していく企業のことです。事業収益を生み出しながら環境と社会に恩恵をもたらし、今日よりも明日の成功ををつかみ、何ヶ月、何年といった短い期間ではなく、何十年、何世代にもわたって成功し続けることができる企業を指します。

持続可能な組織や社会は資本を枯渇させずに利益を創り出し、その利益を活用して生き続けますが、この場合の資本とは、水、空気、エネルギー源、食材などの天然資源や労働者の意欲やコミュニティの支援などといった人的・社会的な資源をも表します。また、操業資格、開かれた市場、法律や経済面での社会的基盤といった経済資源も含まれます。

サステナビリティのコンセプトは他のビジネス用語でも語られます。例えば、「企業の社会的責任(CSR)」という言葉は社会に対する企業の義務を示す有益な言葉で、好ましいタイプの経営を「責任ある企業」とか「企業責任」と呼ばれますが、包括的なコンセプトを表すときはやはり「サステナビリティ」を使います。「社会的責任」は企業の外にいるグループの恩恵を強調していますが、サステナビリティはそれに加えて、企業自体が享受する恩恵も含んでいます。

また、企業の社会・道徳的責任を表現するときに使われる「経営倫理」という言葉は対象が狭すぎます。経営倫理は一人ひとりの管理者が事業上のなんらかの選択を行うときの拠り所となり、賄賂、安全面での手抜き、粉飾決済といった誘惑があったときの判断基準になりますが、より広い視点で事業を推進する拠り所にはなりません。「経営倫理」には、社外の大多数に影響を及ぼす決定を下す場合にだれに相談すべきかとか、事業管理者がだれに対して責任を負うべきかとか、事業活動によって社会が浮ける影響を系統的に測る方法は何か、といったことまでは含まれないからです。

サステナビリティは、自然環境、労働者の権利、消費者保護、企業統治といったさまざまな問題に包括的に取り組むだけでなく、飢餓、貧困、教育、衣料、人権といった、より広い社会的課題に影響を与え、そうした活動から収益を生み出すことを、めざして発展してきたコンセプトです。

(アンドリュー・サビッツら4の「サステナビリティとは何か」より)


参考文献

  1. John Peloza, Moritz Loock, James Cerruti and Michael Muyot, "Sustainability: How Stakeholder Perceptions Differ from Corporate Reality", California Management Review, Vol. 55, No. 1, Fall 2012, pp. 74-97
  2. Brandlogic and CRD Analyticsis, "Sustainability Leadership Report: Measuring Perception vs. Reality"(2011), 本レポートは、www.sustainabilityleadershipreport.com にて公開されており、ダウンロード可能。
  3. NTTコミュニケーション科学基礎研究所(監修)、石井健一郎(編著)「コミュニケーションを科学する(チューリングテストを超えて)」(2002)NTT出版
  4. アンドリュー・サビッツ、カール・ウェーバー著、中島早苗(訳)「サステナビリティ(The Triple Bottom Line 企業の持続的成長を可能にする3原則)」(2008)アスペクト

マネジメントダイバー 第04回 2013.09.26


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