Business Scientific Engineering
株式会社 ビジネスサイエンティア
世界をリードしてきた日本のモノ作りは、30年前から進化が止まり、世界第2位だったGDPも中国に抜かれてしまいました。在庫不正、検査不正、会計不正などの不正事案までも引き起こすようになり、生産性もコストも在庫も「見える化」が進まなくなり、日本の生産性は先進国最下位となりました。そしてついに先進国グループから脱落しつつあります。
この30年の日本経済の低迷は、日本政府によるグローバリズム三位一体の推進、すなわち緊縮財政、自由貿易(モノ、ヒト、カネの国境を越えた移動の自由化)、および規制緩和の同時推進により、デフレスパイラルに陥ったことが大きな要因です。またさらにコロナ危機もやってきました。まさに今の日本経済は大きな危機的状況にあると言っていいでしょう。
外部環境の変化やその要因がどうであれ、企業は生き残って行かなければなりません。日本企業は自ずとグローバル市場に依存するようになっていきました。エンジニアリング業や建設業のみならず、個別設計型生産の造船業や機械製造業などもプロジェクトの国際化への対応が求められています。
(1)海外コントラクターと価格競争で勝てているか
入札条件として、コマーシャル、テクニカル、プロジェクト・エグゼキューションの各プロポーザルの提出が求められ、プロジェクトの品質保証という観点でもプロポーザルの評価対象になることがよくあります。こういう厳しい競争を今日の円高経済環境下で、海外コントラクターと価格競争で打ち勝ち、プロジェクトを受注に結びつけるためには、プロジェクトのコスト構成比率を考慮し、プロジェクト遂行上の多様な対策と工夫を検討する必要があります。
(2)国際コンソーシアムでリーディングできているか。
プロジェクトの国際化に伴い、リスク分散、コスト削減などの目的で国際コンソーシアムを組んでプロジェクトを遂行することを考えなくてはなりません。その場合に自社のWBSをパートナー企業に提示し、そのWBSに基づき役務範囲を規定したプロジェクト遂行要領を提示することが、プロジェクトをリーディングしながら遂行するために重要となってきます。
海外ベンダーに資機材を発注することになりますが、調達部門は、納期管理に関して、設計と建設の間に挟まれる業務的特徴を持つため、その業務範囲は担当者によって変わることが多く、単に購買機能、発注機能しか持たず、資機材の工程管理機能、輸送管理機能までをカバーしきれていないケースも見受けられます。WBSにより他部門と交錯する調達業務部分を明確化し、標準化による強化がプロジェクトの国際化対応にとっては必須条件となります。
価格競争上での課題から、プロジェクトの多くはサブコントラクト契約によって行っており、サブコントラクトコストをうまく管理できるか否かがプロジェクト収益に大きく影響します。サブコントラクト契約は、工事仕様書および工事図面に基づき、WBSによりサブコントラクト業務範囲を明確にし、工事種別毎のBQ(工事数量)を算出し、サブコントラクターからの見積コストを査定し契約を締結します。契約時にBQの精度をどこまで高めることができるか、建設工事フェーズでの追加変更コストをどこまで絞り込むことができるか、また工事の出来高ベースとなる実績BQを正確に把捉できるかがポイントです。
(5)工事で資機材の調達状況が把捉できているか
建設地では、工事のコントロールスケジュールに基づき、詳細スケジュールを立案してサブコントラクターに工事指示を行いますが、その前提となるのが資機材の確保です。この場合、資機材管理表で資機材の調達状況を事前にチェックし、確認することになりますが、いつ搬入されるかという情報が船積みされてからでないと解らないという状況が見受けられます。
(6)工事で設計変更が多発していないか。
建設地での工事施工時に設計の不具合が露呈します。設計そのものの不具合の他に、他のカテゴリーとの取り合いとの不具合、例えば、機器と配管工事、配管工事と計装工事、施工性の不具合、等々があります。
(7)顧客との間での追加変更処理がスムーズにできているか。
顧客との間のスコープが契約時に明確に規定できていない、あるいは顧客との間で変更管理要領が規定されていない、もしくは上手く運用されていないと、顧客との追加変更処理がスムーズに行えないことになります。これらはWBSを駆使してプロジェクトマネジメント&コントロールを行う上での基本事項ですが、そうなっていないケースが見受けられます。
プロジェクトの国際化が進むにつれ、海外もしくはローカルのコントラクターとコンソーシアムを組んで仕事をする機会が増えてきます。その場合に必要なのがプロジェクト遂行に必要な共通言語です。その役割を果たすのがWBSとなりますが、プロジェクトの共通フレームおよび基幹コードとして、プロジェクトの全業務にWBSを適用するためには、それなりの工夫を凝らす必要があります。
BPM(Business
Process Management)という言葉がよく使われていますが、ビジネスプロセスは、単に電子化し表記するだけでは、業務マニュアルとしての用途でしかなく、あまり意味がありません。ビジネスプロセスはコード化まですることで、情報システムに組み込むことができ、他システムとの紐付けや連係が可能となります。「人」の作業と「情報システム」が一体化した業務遂行が実現でき大きな効果が現れます。
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